Research
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研究内容
研究概要:元素相乗系錯体の創製と機能開拓

<高性能な “オンリーワン触媒” を開発する>


 周期表第3周期以降に存在する遷移元素や高周期典型元素は、柔らかく広がりの大きな原子価軌道をもち、機能の宝庫とよばれる元素群です。当研究室では、これらの元素の特性を組み合わせて優れた機能をもつ錯体を創造する「元素相乗系錯体の化学」に挑戦しています。
 この研究の重要な目的は、環境負荷の軽減や機能性物質合成に役立つ高効率触媒を、錯体分子レベルで精密に設計・構築するための新概念や方法論を開拓することにあります。
 遷移金属触媒に関する研究は世界中で行われていますが、その多くは既存の金属錯体と配位子を利用した有機反応の開発に関するものです。私たちは、独自のアイディアにより、これまで誰も実現できなかった高性能触媒を開発したいと考えています。


当研究室で使用している遷移元素と高周期典型元素

 主要研究テーマ
  • 遷移金属触媒による機能性高分子の構造制御合成
  • 触媒反応機構の精密解析と高効率触媒への応用
  • sp2混成リン配位子をもつ反応性有機遷移金属錯体の創製と応用
遷移金属触媒による機能性高分子の構造制御合成


 当研究室で開発した独自の触媒を利用し,機能性高分子の精密合成に挑戦しています。たとえば、C-H結合の切断を伴う芳香族化合物の直接的アリール化反応を利用して共役ポリマーを合成する新重合法(直接的アリール化重合:DArP)の開発に成功しました。合成されたポリマーは、有機太陽電池などへの応用が期待されているもので、従来は有機金属試薬を用いるクロスカップリング反応によって合成されていたものです。今回の開発により、合成経路の大幅な短縮と簡素化が実現できました。



ポリ(3-アルキルチオフェン)の頭尾規則性重合



ドナー・アクセプター型交互共重合体の構造制御合成

さらに、電子発光材料として注目されているポリ(フェニレンビニレン) (PPV) のトランスおよびシス異性体をそれぞれ100%の立体選択性で作り分けることに成功しました。シス体に光を照射すると速やかにトランス体に異性化し、その際に種々の溶媒に不溶な高分子フィルムに変わることを発見しました。この現象を利用して、ガラスやシリコン基盤上にPPVの極めて詳細なパターンを簡単に作り出すことができます。光電子材料に応用できるものと期待しています。

  

PPV の光異性化とガラス基盤上に発生した PPV のミクロパターン

総説:化学, 2015, 70, 64-65.
文献:Macromolecules, 2017, 50, in press; Macromolecules, 2016, 49, 3310-3317; J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 11420-11421; J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 4350-4353 など.
ホスファアルケン配位子をもつ反応性有機金属錯体の創製と応用


 炭素/リン二重結合をもつホスファアルケン類は、高周期典型元素の特徴をよくあらわしたとても面白い化合物です。すなわち、極めてエネルギー準位の低いπ*軌道と高い準位の孤立電子対を併せもち、σ供与/π逆供与相互作用によって遷移金属と強く結合するとともに、反応活性な金属錯体種を効果的に安定化します。
 当研究室では、PNP三座キレート型ホスファアルケン配位子である ジ(ホスファエテニル)ピリジン (BPEP) を新たに開発し、先例のない価電子数 "15" の鉄(I) 錯体の合成単離に成功しました。この錯体は、ジアゾアルカンの窒素− 窒素結合を室温で容易に切断します。

BPEP 鉄(I) 錯体によるジアゾアルカンの窒素−窒素結合切断

 さらに、ホスファアルケン配位子の特性を触媒反応に活用することに、世界に先駆けて成功しました。たとえば、二座キレート型ホスファアルケン配位子である ジホスフィニデンシクロブテン(DPCB)を用いることにより、従来の錯体触媒では不可能であった高速触媒反応を実現しました。



 

DPCB 錯体と触媒反応の例

総説:Chem. Rec., 2016, 16, 2314-2323; 有機合成化学協会誌, 2009, 67, 529-539.
文献:Angew. Chem. Int. Ed., 2016, 55, 15347-15350; J. Am. Chem. Soc., 2013, 135, 11791-11794; J. Am. Chem. Soc., 2010, 132, 9934-9936 など.
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